大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2121号 判決

原判決が原判示事実に対する証拠として挙示した証拠の中には被告人の供述又は供述を録取した書面もあるし、更に司法警察員作成の差押調書、証拠金品目録、証拠物もあるのであつて、決して被告人の供述又は供述を録取した書面だけではない。すなわち原判決はいわゆる補強証拠を挙示しているのである。そもそも補強証拠とは被告人の供述以外の証拠であつて、しかもその供述の架空なものでないことを裏ずけるに足るものをいうのであるが、供述の架空なものでないことを裏ずけるに足るものならば、如何なるものであろうとも差支ないのであつて、これを制限すべき理拠はない。

飜つて、原判決の挙示した補強証拠に該るものと被告人の供述の内容とを記録にもとずいて精査し、以上を綜合して考覈するときは、被告人の供述は、まさに架空なものでないことを知ることができるので、これらを資料として判示事実を認定した原判決の措置たるや、一点違法とすべき跡は見出されないのである。しかり而して、被告人が富山化学製品ネオアゴチンの名称を冐用した表示書を附して覚醒剤合計約三、〇〇〇本を製造したという原判示事実は、原判決の挙示した補強証拠と相俟つて、被告人の供述によつて優に証明することができるのである。従つて原判決には刑訴法第三一九条第二項違反はもちろん、証拠理由不備というがごとき疑すら狭む余地はない。しかも記録を精査してみても、原判決の右認定に誤ありとすることは、とうていできないのであるから所論はいずれも採用すべき限りではない。

同第四点について。

被告人が職業として屑物回収業を営んでいたとしても、本件不正表示医薬品を昭和二六年八月二一日頃から同年九月八日頃までの間に回を重ねること五回、合計数量約三、〇〇〇本という多量に及んで製造したというのであるから、その製造行為自体を以て業態を形成するものというべきである。従つて、原判決が被告人の判示所為を目して不正表示医薬品の製造業を営んだものとして被告人の刑責を問うたのは、まさにその所であつて、原判決の措置には毫も矛盾なく、又いささかも誤認の点はない。

所論は薬事法第二六条にいわゆる「業」の意味を正解しない所から出た謬見たるを免れない。

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